ほんの一年と少し前、まだ8歳だったぴなちゃんは、人生のどん底から自分の力ではい上がりました。ぴなちゃんのお父さんは、不登校で卒業をあきらめちゃった子たちを励まし、大学にまで行かせてしまう、もと不登校だった変り者教師。そんなお父さんを悩ませたぴなちゃんがはなった光のことば・・・・
今回は、つよい子ぴなちゃんが、人生のどん底からはい上がるお話です。
前回のあらすじ
転校して、まったく未経験だった長なわとびに、少し慣れてきたころのこと。前にいた女の子がロープにひっかかり「あっ」と声をだすのを、ぴなは聞きました。
ところがまわりのみんなはいっせいに、ぴなの方をみます。
前にいた女の子もこっちをみたので、助けてくれると思いました。
しかし女の子は、思いがけないことを口にします。
みんなが信じたのは、その女の子の方でした。
それまでヘタクソだったぴなの言葉を、みんなは信じてはくれません。
みんなからの信用を失ったのだと、絶望のどん底に落ちてしまいます。
「楽しい」と「楽」どっちがいい?
「楽しいこと」と「楽なこと」とでは、起きる結果が違います。
もしも女の子が「ゴメンネ!」って言っていたら?
(そもそも、このブログが生まれなかったけど)
ぴなちゃんが、傷つかなかっただけじゃない。
それは、失敗しちゃった自分を、ゆるすこと。
自分をゆるすのは、成長の階段を、のぼること。
自分が成長するって、楽しいこと。
女の子の中の恐竜は、ささやくのです。
「ぴなちゃんに、なすりつけようよ」
不安からは、逃げるが勝ち。それがいちばん楽なこと。
失敗した自分をゆるさないって、カッコいい。
カッコいいけど、成長しない。
成長しないことは、不安といっしょに生きること。
女の子は「楽なこと」をえらんでしまいました。
なすりっコドラゴンは、他人に罪をなすりつけるのがとっても上手。
みんなは、その子のほうに、群れちゃいました。
群れっコドラゴン
ドラゴンたちは、いっしゅんで群れをつくり、ぴなちゃんの前に線を引きます。
人の脳の中にいる「群れっこドラゴン」は悪いドラゴンじゃありません。
ただ、恐竜時代の本能なので、頭は悪いのです。
ぴなちゃんのことばを信じないとか、そんなことは関係ないの。
ぴなちゃんがあやまってる姿を、みんなは見なれていたから。
どんなに叫んでも、見なれたイメージは、強いのです。
だから、だれも分かってくれなかった。
恐竜は、そんなことでは落ち込まない。
女の子はきっと、自分のウソで、落ち込んでいます。
考えたって、仕方がないよ。
ぴなは、わけがわからずに、目の前がクラクラしてきました。
ぴなの中の恐竜は「ぜったいゆるさねぇ」って決めます。
どうでもいいことをぜんぶ集めて、私の周りに積み重ねていったの。
「あきらめるな、オレがついてる」
積みっコドラゴン
ぴなちゃんは、朝、起きられなくなります。
ぴなを守っている本能のしわざです。
積みっこドラゴンは「ついてない」「不平」「不満」「グチ」「泣き言」「悪口」「文句」「心配ごと」「許せない」という、積み木を積み重ねて行きます。
そしてとうとう、積みっコドラゴンは、ぴなちゃんを動けなくしてしまいました。