かしこい子になる

アレルギーのしくみ(1)免疫グロブリンの種類「ヒヨコは花粉でくしゃみをするか?」

学校は子どものアレルギーに責任を負う最前線の現場です。子どもたちの1割~2割は何かのアレルギーを持っているので、アナフィラキシーショックなどで死人を出さないための体制を整えているんですよ。

重症な子のための「エピペン(アドレナリン注射剤)」のある場所は、たとえ行事で場所の移動があても、だれもが把握していなくてはなりません。宿泊研修や見学旅行の食事の計画も、その半分はアレルギー対策です。

「見学旅行説明会」ではアレルギー食の説明にも重点がおかれ、終了後には心配する保護者さんたちに囲まれますが、だいたいアレルギーのお子さんをお持ちです。ぼくは、取り囲む保護者さんたちを、大爆笑で安心して帰ってもらいました。

ぴのすけ
ぴのすけ
みなさん「うちの子だけ可愛そう」なんて表情されてますけど、「アレルギー食の方がだんぜんおいしそうだね。『勝ち組』じゃん」って声をかけてあげたら、子どもたちも安心すると思いませんか?

どうしたって避けられないことなのに、保護者が悲観してどうするのってことでした。同僚の女の先生から「やっぱ学年主任は神だわ。また今度もお願いします。」なんていわれました。違うんです。ぼくは本心から、アレルギー食はおいしそうって思うんです。ぼくはカップ麺アレルギーでいまも後遺症がありますが、カップ麺のアレルギー食があるなら、また一週間食べ続けたいです。

見学旅行については、ちがう機会に書きます。今回は、アナフィラキシーショックを起こす怖ろしい「即時型アレルギー」について、ぼくが昔、調べてたことをかきます。

ヒヨコは花粉でくしゃみをするか?

ぴのすけ
ぴのすけ
では、タイトルどおり「スズメは花粉でくしゃみをするか?」について考えてみます。
ぴな
ぴな
ヒヨコね。わたしがヒヨコと遊んでる写真使いたいから、ヒヨコになおしたんでしょ。
ぴのすけ
ぴのすけ
忘れてました。ヒヨコです。

アレルギーを起こしやすい、花粉や、そばや、小麦、花粉、ネコの毛、チリダニのふんなどなどは、ヒトのB細胞ビーさいぼうの作り出す「免疫めんえきグロブリン」が関わっています。

ヒトの免疫グロブリンには次の5つがあるので、この世に登場した時代の古い順にまとめてみます。

5つの免疫グロブリン

IgMアイジーエム軟骨魚類なんこつぎょるいよりあとの脊椎動物せきついどうぶつがもっている)

・分子量90万のいちばん大きな5量体ごりょうたい抗体こうたい
・感染性の微生物を抗原として、少量だけ生産される。
凝集力ぎょうしゅうりょく感染防御力かんせんぼうぎょりょくがもっとも強い。
・ヒトのABO式血液型の指標になっている。
・ヒトどうしの、血液型のちがいを見分けてしまう。

IgD(軟骨魚なんこつぎょよりあとの鳥類以外ちょうるいいがいの脊椎動物がもっている)

・分子量17万の2番目に小さな1量体いちりょうたい単量体たんりょうたい)の抗体。
・B細胞の表面にあり、詳しい仕事は分かっていない。
・病原菌以外の侵入物を抗原とすることは分かっている。

IgG(両生類りょうせいるい、鳥類、哺乳類ほにゅうるいがもっている)

・分子量15万のいちばん小さな1量体の抗体。
・いちばんたくさん作られ、ヒトの抗体の70%を占める。
・細菌・ウイルス・微生物の出す毒素などを抗原とする。
・凝集力はIgMの次につよい。
・胎盤を通過でき、新生児の感染を防ぐ。

IgA(鳥類、哺乳類だけがもっている)

・分子量17万の1量体と分子量39万の2量体がある。
・細菌・ウイルスを抗原とする。
・唾液、涙、鼻水、汗、初乳などの外分泌液に含まれる。
・ケガのときなどの感染に役立つ。

IgE(哺乳類だけがもっている)

・分子量19万のわりと大きな1量体の抗体。
・作られる数はいちばん少ない。(よかった)
病原菌やウイルス以外の有害な侵入物を抗原とする。
・からだに侵入した寄生虫をやっつけてしまう。
・アレルギーの原因になっている。

ヒトのアレルギーに関係しているのが最後にあげたIgE抗体ですが、ヒヨコはもっていません。ヒヨコがもっているのはIgM、IgG、IgAの3種類。このうち細菌でもウイルスでもない、微生物などの出す毒素に反応するのはIgGだけです。

さて、ヒヨコのもつ免疫グロブリンIgGが、花粉を見分けるポイントは?
花粉に、毒はあるのか?
この1点にかかっています。

自然界にある毒素

植物性:そば(ファゴピリン)、ジャガイモの芽(ソラニン)、青梅(アミグダリン)、生の豆(レクチン)、イボテングタケ(イボテン酸)、トリカブト(アコニチン)

動物性:フグ(テトロドトキシン)、スズメバチ(ヒスタミン・セロトニンなどの混合物)、ハブ(ペプシンなどのタンパク質分解酵素)、鮮度の落ちた魚(ヒスタミン)・・・

カビ性:アフラトキシンなど

ぴな
ぴな
カビって、植物にも動物にも入れてもらえないんだね。
ぴのすけ
ぴのすけ
目に見える細菌のあつまりみたいなものだからね。

上に挙げた毒素はすべて「アルカロイド」や「アミン」などに属する物質で、花粉には含まれていないみたいです。

アレルギーをもつ人が反応する「花粉」「ダニのフン」「ネコの毛」の共通点

花粉は、しべに達したあと、中に入り込むための酵素こうそが含まれています。
ダニのフンは、消化されたものなので、消化酵素しょうかこうそが残っています。
ペットの犬や猫は、子どもをよくぺろぺろなめていますよね。唾液だえきで洗っているんです。

たんぱく質の分解酵素ぶんかいこうそを含んでいたり、付着したりしているんです。
「花粉」「ダニのフン」「ネコの毛」はそれぞれまったく違うように見えて、共通点がちゃんとあるんですね。

花粉に毒性はある?

ぴのすけ
ぴのすけ
ジャガイモの芽や、生の豆に毒があるのは、なぜかわかる?
ぴな
ぴな
うーん。食べられたくないからでしょ?
ぴのすけ
ぴのすけ
そうだね。ジャガイモの芽も、生の豆も、そこから芽を出して、自分で伸びていかないといけないよね。
ぴな
ぴな
それじゃ、食べた人を毒でやっつけて、その人を栄養にすると、大きくなれるね。
ぴのすけ
ぴのすけ
おお、それは、エグいアイデアだね、

エグい:たとえばタンポポの茎は、苦くてアクがつよく「べっ」と吐き出したくなるような味があり、そういうのを「えぐ味」という。それと同じように、きっつい感じの言い方を「エグい」という。

花粉は小さくて、動物は食べたりしないので、毒性をもつ必要がありません。
ダニやシラミも、動物となかよく一緒にいたいので、毒をもっていません。

ヒヨコのIgGが反応するための毒素は、花粉にはないのです。

ぴな
ぴな
そういうわけで、花粉症に対応する抗体がないので、ヒヨコは花粉でくしゃみはしないが正解でした。
ヒヨコは花粉より、子どものほうがこわい





ABOUT ME
pinosuke
ぴのすけ@30年間、地方で物理の教師をやったあと起業してしくじり、いまは会社員をしながら再起動中です。 学校では、うつや不安症やアレルギーといった、心理面、健康面でのサポートが得意で、無理だと思われていた子も、不思議と学校に戻ってきました。 大きなしくじりを体験し、ビジネス面でも意外に「ついてる」ことが発覚。 これからはビジネスに重心を置いて、サポートの力を試していきます。