5月末しめきりのENEOS童話賞についての対策をします。今回は小学生むけですよ。
詳しい解説を見たい人はここをタッチ。べつのページでひらきます。
「童話に必要な4つのこと」つよいこ方式
このページではENEOS童話賞の第50回の最優秀賞と優秀賞の徹底研究をしていきますよ。
第50回 最優秀賞『まほうのばんそうこう』桑田 咲月さん(小1)
第50回(2019年) JXTG童話賞 【小学生以下の部 最優秀賞】
文字の数は、1788文字÷最大2000文字=90パーセント。
全体がひらがなで書かれた、すごい作品です。人という漢字だけ、8回使っています。きっと、ちいさな妹か弟がいるのかな?と思ったら、書いた本人が小学校1年生でした。まいりました。
1.構成力(こうせいりょく)
『A(すごいね!)』としておきます。
はじめ まほうじんがあらわれる。
なか 3まいのばんそうこうをもらう。
おわり その3まいで、いろいろなものをなおす。
とっても夢のあるお話です。
不安で痛くなった自分の胸に貼ったら、寂しさがなくなってきて、たぶん痛みもなくなった。ついでに、まほうじんがまたまた登場してしまう。もしも漢字を使っていたら、もう少し深い話になっていたと思います。
2.情報量(じょうほうりょう)
こんなふうに数えてみますよ。
わくわくA・・・・・・とってもわくわく
わくわくB・・・・・・ふつうのわくわく
わくわくC・・・・・・おしいわくわく
魔法が使える「まほうじん」と仲良くなった・・・わくわくB
たんじょうパーティーで歌をうたうことになった・・・わくわくB
まほうじんの家に行った・・・わくわくB
「まほうじん」から3まいのばんそうこうをもらった・・・わくわくA
1まいでパパのこっせつをなおした・・・わくわくB
2まいめでトイレがなおった・・・わくわくB
3まいめで自分の気持をなおした・・・わくわくA
わくわくBが5個
2.5.心のふれあい度
3.文法(ぶんぽう)
文法が『A(すごいね!)』になるには、とってもきれいな日本語じゃないとダメなようなので、ごめんなさい『B』としておきます。
5枚の原稿用紙にひらがなをみっちり90%うめているので、きつきつで、自由がきかなかったでしょうね。
全編ひらがなだけど、子どもがつかわない言葉も出てくるので、たぶん、お父さんやお母さんの知恵も入っていますよ。
4.読後感(どくごかん)
サッカーにたとえてみると、ゴールまえまでボールをはこんでシュートしようとしたら、とつぜん大迫勇也選手があらわれて、たすけてくれるみたいな話になっちゃっています。
ゴールキーパー以外は手を使えない、ゴール前には敵がいてじゃまをする、そういう困難があるから、サッカーは切なくて、おもしろいんだ。
第50回 優秀賞『ぼくらはおいしい正月もち』八月朔日葵香さん(小3)
第50回(2019年) JXTG童話賞 【小学生以下の部 優秀賞】
文字数と用紙を使い切る割合をしらべました。
1340文字÷2000文字=67パーセントです。
1.構成力(こうせいりょく)
妖精って、わかるかな?
2.情報量(じょうほうりょう)
『A(すごいね!)』でしょう。
正月もちのつくりかたがかかれている⇒わくわくB
おばあちゃんのコツがかかれている⇒わくわくB
丸1日、冷たいプールにいること⇒わくわくB
むしなべでむされてサウナみたい⇒わくわくB
きねでつかれて、マッサージみたい⇒わくわくB
白い粉(かたくりこ)の上で雪遊びをする⇒わくわくB
かがみもちをつくった⇒わくわくB
おいしいおもちになった⇒わくわくB
あいちゃんが、きなこまみれになる⇒わくわくB
今年もまたりっぱなもち米になる⇒わくわくB
2.5.心のふれあい度
3.文法(ぶんぽう)
おばあちゃんの方言をていねいに書き残したところは、評価が高いと思います。
「こういう作ぎょうは、手をぬげばまいねぇんだ。ていねいに作んねばまいね。」
「重いど。お父さんと一しょに気つげで、やらねぇばまいねど。」
「かがみもちだ。今年もいぐでぎだ。」
「うめんべ。いっぱい食って、今年もがんばるべ。」
おばあちゃんの言葉のひとつひとつに、やさしさが溢れていて、ピノすけは『A(すごいね!)』をつけたいです。
4.読後感(どくごかん)
おもちの精たちが、杵でつかれてマッサージをうけるとき、こう言います。
この部分が、読んだ後にもしばらく『痛い』きもちを残してしまいます。
そんなふうに、マッサージされるのを喜んでくれたら、楽しいよね。おもちの精は、おいしいおもちになると、喜んでもらえることを学びました。
おもちの精が生きているのは、おもちの中、もち米の中、もち米から出る芽、くき、はっぱ、花?の中。
まいとし品種改良される、べつのもち米の中にも、とびうつるかも知れません。
第50回 優秀賞『たこやき君』祝恭羽さん(小4)
第50回(2019年) JXTG童話賞 【小学生以下の部 優秀賞】
文字数は1750文字÷最大2000文字=0.875(88パーセント)
1.構成力(こうせいりょく)
幸福の青い鳥を探して旅に出たチルチルとミチルが、見つけられずにがっかりして帰ってくると、家の鳥かごの中にいた、というお話があります。
このお話の骨組みを借りると、いろいろなお話ができますが、カンタンではないですよ。
たこやき君は、この骨組みに沿って作られた、とってもおもしろい作品だと思います。
2.情報量(じょうほうりょう)
たこやき君が、ちがう形がよかったと、ふまんに思う・わくわくB
ドーナツ君の穴から、絶景が見える・・・わくわくB
ドーナツ君にも、不満がある・わくわくB
お団子ちゃんが、ありの大群に追いかけられる・わくわくB
てんぷら三兄弟が、ねこや犬にねらわれる・わくわくC’
(てんぷらがねらわれるのは、においのせいでしょ)
ワッフルちゃんの四角いくぼみに、てんとう虫が住みついてしまう・わくわくB
クロワッサン君が、がけから落ちる・どきどきB
たこやき君が、ころがって助けにいく・わくわくB
たこやき君が、がけを登る・わくわくC
(元気のもとの、ソースやかつおぶしは、どこにあったの?)
川でおぼれるたいやき君を、たこやき君がたすける・わくわくC
たこやき君が、丸い自分を好きになる・わくわくA
2.5.心のふれあい度
3.文法(ぶんぽう)
これは、たこやき君。名前の通り、たこやきです。たこやき君は思いました。
(どうしてぼくは丸いのだろうか。もっとちがう形がよかったなあ。)
とうとう、たこやき君はちがう形の自分を探しに行こうと決めました。歩いて行くと、ドーナツ君に会いました。ドーナツ君のおなかから遠くの景色が見えます。たこやき君が、
「うわあ!知らなかったよ。君の穴にこんな絶景が広がっていたなんて!すごいなあ!」187文字
さくしゃが、たこやき君になりきると、説明が短くできて、情報量が増やせます。
ぼくは、たこやき。ひるねをしてたらころがって、仲間とはぐれてこまってる。
丸い形は、不便でこまる。ちがう形になりたいな。ぼくは、ちがう自分を探すため、旅に出ることにした。
あこがれのドーナツ君に会った。かっこいい。いちどおなかの穴をのぞいて見たかった。
「いいよ!」ドーナツ君は、そっとのぞきこんだ。
「うわあ!絶景だ!広い台所の景色が見えるよ!すごいなあ!」173文字
たこやき君がどうして『丸い形』を嫌がったのか?、ドーナツの穴からどんな絶景が見えたのか?、など、書いてほしいことがいくつかあります。
4.読後感(どくごかん)
どうして、サカナのかたちのたいやき君が川でおぼれて、丸い形のたこやき君が助けられるのか?ドーナツ君ではダメだったのか?など、いろいろギモンが出てきます。
たぶん、たこやき君はアンパンマンのように圧倒的に強いのだと思いますが、そうなる理由があれば良かったなと思います。
そういうルールがあると、面白くなるんです。
サッカーでも、ルールをやぶると、面白くないよね。
いろいろなところにヒントがあるので、考えてみてくださいね。
ごいけん、ごそうだんは、こちらへどうぞ!