まいとし5月すえに、ENEOS(エネオス)という会社が、みなさんのつくった童話を募集しています。ENEOS童話賞は、1970年からはじまって、2020年のことしは51回め。まいとし10000人の童話が送られてくるそうです。
まずは、ENEOS童話賞について、しらべてみるよ。
上のページには「童話の書き方」のページがあります。高校生向けしかなかったので、子どももわかるように、だれでもつかえる「つよいこ方式」をつくってみました。
「童話のかきかた」つよいこ方式
ピノすけはまだ入選どころか奨励賞にさえ選ばれたことがありませんが、4の「読後感」だけは満点だったらしく、出版社のかたから秘訣を教えてもらいました。みなさんに、ばらしちゃいますね!
1.構成力とは?
おはなし全体の組み合わせ方のことです。
おはなしはたいてい、「はじめ なか おわり」の3つでできています。
学校に例えると、入学式があり、そこで生活をおくり、卒業式を迎えます。
イソップの「カラスと水がめ」でせつめいしますね。
○ 水をのみたいカラスくんがいます。
○ 水が少なすぎてとどかない水がめがあります。
○ 仮説をたてます
仮説とは、○○をしたら、□□になるかな?という予想のことです。
○ その仮説をためして、答えをだします。
はじめ・・・おはなしの「入学式」だよ。これから問題が起きるんだ。
なか・・・・「せいかつ」です。「生活の知恵」をつかって仮説をたてて問題に挑戦するよ。
おわり・・・「卒業式」です。問題を解決して、未来へ歩いていくよ。
2.情報量
情報量とは「量」のことなので、ひとつ、ふたつと数えることができます。
わくわくA
・・・「場所」や、「時間」がうつりかわる
・・・めっちゃわくわくする
わくわくB
・・・お話に欠かせない、前向きなもの
わくわくC
・・・お話に欠かせないけど、前向きではないもの
「わくわく」はときどき「どきどき」になることがあります。
「カラスと水がめ」の情報量を数えてみますね!
1.のどのかわいたカラスが、運よく水がめをみつけた。わくわくB
2.けれど、水が少なくて飲めなかった。わくわくC
3.水がめのまわりに小石を発見。わくわくB
4.たくさんの小石を入れると、水が押し上げられてくるかもしれないという、仮説を立てた。わくわくA
5.石のかたちによっては、水が石のすきまに入るだけで上がってこないこともありえたけれど、運よく、水が上がって飲むことができた。わくわくB
わくわくBが3つ
わくわくCが1つ
3.文法
文法というのは、正しい言葉のつながりのことです。
作品をくらべるのに文法をみるなんてどういうことかを考えてみますよ。
ピノすけは、まえにべつのコンテストに応募したとき、入選にも佳作にも選ばれず、まったくダメでしたが、その後、担当の人から電話があり、ピノすけの作品の評価(良さのこと)をおしえてくれました。
1.構成力 B’(いいね!)
2.情報量 B(ふつうだね)
3.文法 B(ふつうだね)
4.読後感 A(すごいね!)
(評価は「C⇒C’⇒B⇒B’⇒A⇒A’」のように上がっていきます)
こんな感じで『B(ふつうだね)』が3つもあるような評価では、入選できないんです。
情報量が少ないのは納得できましたが、文法がBとは、ショックです。普通くらいには書いたはずなのに!!!
そこで、ピノすけはこう考えたのです。
ふつうの文法では、評価は『B(ふつう)』なのだ!
では、ふつうを超える、ひとつ上を行く文法ってなんでしょう?答えはカンタン。それは「きれいな文法」です。例をあげてみますので、みなさんは、テキストをひらいてください。
つぎのリンクの「童話の花束第48回」の小学生以下の部、最優秀賞「ひまわりのお母さん」p43と、佳作「カブトムシの大後悔」p52を例に説明してみます。
パソコンやタブレットなど画面の大きなものでみるようにしましょう。
第48回最優秀賞「ひまわりのお母さん」の文法
次の日、僕は昨日よりも少し大きくなった。そして同じように女の子が通った。お母さんもいた。やっぱりなにかちがう。
日に日に僕は、大きくなった。幸せだ。でも、何かが足りない。
そして今日、地上に顔を出してから二か月、やっと気付いた。僕に足りないのは・・・・・・お母さんだ!!一度でいいからお母さんに会いたい。心の中で叫んでみる。
とてもきれいな、詩のような文章ですね。ENEOS童話賞の審査では、このような、心の中からしみじみとわき出るような、落ち着いた文章が上位に入る傾向があると思います。声に出して読んでみてください。
第48回佳作「カブトムシの大後悔」の文法
ぼく達はこれからどうなるのかが不安で気が気でなかった。
人間は、僕たちが入っている箱を外に置いている。
でも暑いときには、虫箱をすずしい部屋に移動してくれた。快適な生活だけど、自由がないので僕は必死に脱走するチャンスを探した。
例えば、人間が箱を掃除している時や、エサを置く時に脱走を試みた。
こちらの文章はとても元気です。もったいないのは「修飾語」(かざりつけることば)が多かったり、状況をあらわす言葉が重なったりして、文章が長くなっちゃっています。とくに「修飾語」はいくら増やしても、情報量は増えないんです。
1.『不安』と『気が気でない』は同じ意味なので、どちらか一つを削ると、すっきりします。
2.三行目は、あきらかに虫箱の話なので「虫箱を」を削るとすっきりします。
3.次のようにすると短くできて、情報量が増やせますよ。
ぼく達はこれからどうなるのか、気が気でなかった。
人間は、僕たちが入っている箱を外に置いている。
でも暑いときには、すずしい部屋に移動してくれた。
快適だけど、自由はない。僕は必死に脱走するチャンスを探した。人間が箱を掃除している時。エサを置く時。僕は羽をばたつかせる『すきま』ができる瞬間だけを狙っていた。
自分自身の体験した、とっても良いお話なのに、もしも「文法」ごときで評価が下げられたのなら、もったいないです。ぜひ、声に出して、ムダな言葉を削り、すっきりしたきれいな文法を心がけましょう!
4.読後感
読後感とは、その字の通り、読んだあとにのこる感じです。
読後感の残るようなお話を書けと言われても、読んだ後にどう感じるかなんて、読んだ人の勝手ですよね!
出版社のかたがおっしゃっていましたが、読後感の評価で『A』がつく作品は、なかなかないのだそうです。
これは、ピノすけから提案ですが、こうすると良くなるかも?という、方法があります。それは、書きたいことを、全部書いてしまわないで、残しておくのです。
結論は、読んだ人に想像してもらう
そうすると、読んだ人がしばらくこのお話のことを考えてくれるという効果があります。たくさんの童話を読んで、先輩たちの方法を学んでいきましょう。がんばってくださいね。
小学生むけ・ENEOS童話賞(エネオスどうわしょう)のたいさくを、べつのぺーじでひらきます。